2011-03-17

33委員会のパンフレット

ベトナム資源環境省の33委員会は、枯れ葉剤問題を扱うベトナムの機関です。先日送られてきたパンフレットの翻訳ができてしまいましたので、掲載します。
ベトナム戦争中に、600キログラムの2,3,7,8TCDD(北村註:世紀の毒素のこと)を含むおよそ8000万リットルの除草剤が、アメリカ軍によって南部ベトナムに撒布された。
環境中や、動物、人体、特にベトナムの重度汚染地域に今日まで残っている高いレベルのダイオキシンが、ベトナム戦争中にアメリカ軍が使った除草剤の長期的影響の確たる証拠である。
200万ヘクタール以上の内陸部とマングローブ林は、有毒化学剤によってはちゃめちゃにされた。これらのエコシステムの蘇生には、長い時間がかかっている。これらの被害地域では、生物の多様性という点で厳しい衝撃を与えた。希少な植物種や動物種が際立って激減したり、絶滅した。

この30年間、重要な研究が、ベトナムと外国の科学者によって行われてきた。その研究には、ガンを中心とした各種疾病を分析する4万7000人の退役軍人の疫学研究、生殖機能への衝撃、次世代、次々世代における先天性欠損症の発生をダイオキシンに曝露した人としていない人との比較などが含まれている。

ベトナム人科学者は、遺伝子の変化を発見した他に、染色体、蛋白質の損傷、ダイオキシンにおける血中濃度の高い人を含めて、継続してダイオキシンに曝露した人たちの間にみられる免疫不全も発見した。
 ダイオキシンは、この世で最も有毒な化学物質の一つである。ダイオキシンは、ベトナム戦争でアメリカが使用したエージェント・オレンジや他の枯れ葉剤の生成過程における副産物である。それは、また、ベトナムにおける非常に高い割合をしめる障害者の大きな原因の一つである。
ベトナム政府と国民は、有毒化学剤・ダイオキシンの種々の結果を克服するための努力を行なってきた。外国人科学者との協力の中で、何百という科学研究をベトナム人科学者は行ってきた。

各種疾病にかかった人びとを含めておよそ100万人の枯れ葉剤被害者が、ベトナム政府及び国民から支援を受けている。また、20万人の被害者を支援するために、ベトナム政府は年間5000万米ドル相当の支援を行なっている。

旧アメリカ軍軍事施設の近くの一部地域では、今も、ダイオキシンが環境と人体に影響を与え続けている。ベトナム政府は、これらの重度汚染地域からダイオキシン拡散を抑制するためと、住民の健康を守るために、汚染地域の浄化の対策を講じてきた。

アメリカ政府は、2005年からダナン空港でのダイオキシン研究に参加している。現在アメリカ政府は、ベトナム政府と協力して、ダナン空港でダイオキシン対策を開発実施している。両国とも、このプロジェクトを成功させるために、共同作業をする必要がある。そして、また、将来ビエン・ホア空港とフーカット空港のダイオキシン浄化対策のための計画も必要である。
 
地球環境ファシリティ(北村註:GEFは国際機関ではなく、世銀、UNDP、UNEP等の既存組織を活用した資金メカニズムのことです)は、国連開発計画と共同して、”ベトナムにおけるダイオキシン重度汚染地区環境回復”事業の実施のためにベトナムの33委員会に財政援助をしている。このプロジェクトは、本年2011年から2015年まで、ダイオキシン重度汚染地区の完全回復にむけたプロジェクトに関与し、支援するものである。
重度汚染地区におけるダイオキシンからの回復は、人体に対するダイオキシンの衝撃の結果を克服する事を目的とした方法で、並行して進行中である。エージェント・オレンジ被害者を含む障害者を支援する種々の計画は、より大きな規模で実施されることになる。重度汚染地区近くでの障害をもった子どもの数を減らす一助として、家族計画の相談・アドバイスをする計画も立案されている。

ベトナム政府は、引き続き2011年から2015年までの科学研究計画として、ベトナムにおける枯れ葉剤が人体と環境に与える影響に関連する主要な問題と取り組む計画を発展させる。この計画は、、枯れ葉剤の使用の結果を調査している他の事業とも関連するものである。

ビルゲイツ夫妻とバーミューダに本部を置くAtlantic Philantoropiesという国際慈善団体が寄付したお金で作る新”ダイオキシン研究所も稼働する。若い研究者が、今年日本、ドイツ、アメリカで分析トレーニングを受けて、近い将来、土壌、沈殿物、生物的サンプルの中のダイオキシンの本格的な分析研究に入る。そして、それが、ベトナムにおけるダイオキシンの衝撃に関する将来的な研究の重要な施設になる。
 ベトナム政府は、エージェント・オレンジ問題と枯れ葉剤が環境と人口に与えた影響などに関する研究に参加する世界中の組織と個人を歓迎する。わえrわれは、また、ベトナムでのダイオキシン使用の結果を克服する事にむけて、アメリカからの支援と協力を引き続き求めるものである。
英語とベトナム語で発行されています。表紙には、左手首の先天性欠損症の児童の写真と、枯れ葉剤で木が生えない山の写真の2枚が載っています。
北村 元 愛のベトナムさわやか支援隊 since1990
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