2007-10-19

枯れ葉剤訴訟 因果関係(3)

3回連載の枯れ葉剤訴訟 因果関係の最終回です。 この記事は、ベトナム枯れ葉剤被害者協会常務理事レ・ドゥック・ティエット弁護士の執筆です。
アメリカ裁判所でのベトナム被害者の訴状はまだ「受理されていない」状態だ。(注:掲載誌”毒学”第1号発刊の時点で)
というのは、裁判所は法理論の基礎があるかどうかを判定するからだ。この期間は証拠をまだ見ていない。
従って、ダイオキシンと被害者の因果関係は裁判所が受理してから判定する。
現在、ダイオキシンの研究は、昔の80年代の研究と比べて遙かに進歩してきた。しかし、ダイオキシンに関する科学者の知識についていえば、現在でも乏しいと言える。
ダイオキシンは毒物だと分かっている。たとえ何十年経ても、ダイオキシンは土壌の中、血中に、脂肪の中に、人間の乳房の中に見つけることが出来る。

しかし、科学者は人の体にダイオキシンがどういう影響あるかを十分研究し尽くしていない。ダイオキシンは、環境の中で人間にいつまで影響を与えるのか?

科学者は因果関係を発見するために、ダイオキシンをウサギやねずみの体内に入れることは出来るが、人体にいれることは出来ない。

科学者はどの病気がダイオキシンによる病気なのかの結論はまだ出せない。ダイオキシンの被害者と認定出来るように、自分の病気や自分の子供の病気と撒かれた枯れ葉剤との因果関係を証明しなくてはならない。

従って、因果関係の証明は、提訴にあたってとても重要なことになる。被害者一人ひとりにも重要なものになる。これはマンパワー、時間と資金が相当かかる。そして、広い分野の専門家の協力が必要になってくるのだ。(終わり)


翻訳:レ・タイン・トゥン(静岡県富士市在住) 補訳:北村 元Posted by Picasa

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