2006-08-26

ダイオキシン国際会議 2006 (2)

ダイオキシン国際会議2006は、昨日オスロで終了したが、2回続きの最後は、ベトナム側が発表した資料の骨子その2である。

(2)ダイオキシンに高リスクで曝露(HRE)した患者の遺伝子、免疫、生化学、血液学的生物学的要因変化に関する研究

グエン・ヴァン・トゥオン(1) ファン・ティ・フィ・フィ(1) グエン・ヴァン・グエン(2) チン・ヴァン・バオ(1) ヴァン・ディン・ホア(1)
グエン・ティ・ハー(1) ドー・チュン・ファン(1) ノング・ヴァン・ハイ(3) バック・カイン・ホア(1) その他協力者

(1)ハノイ医科大学 ハノイ市ドンダー区 トン・タット・トゥン通り 1番地
(2)ベトナム国防省軍医学院 ハノイ市ハタイ区ホー・スアン・フオン通り15番地
(3)ベトナム科学技術学院 バイオテクノロジー研究所 ハノイ市 カウ・ザイ区 ホアン・クオック・ヴィエット 17番地

はじめに
ベトナム戦争中に、2,3,7,8TCDD600キロ以上を含んだエージェント・オレンジ8千万リットル以上が、南ベトナム領土に撒布された。多くの文献は、ダイオキシン、就中2,3,7,8TCDDへの曝露は、人体と環境への多大なる逆効果を引き起こすことを示している。ダイオキシンは、超有毒物質である。人体の健康に対するダイオキシン活動のメカニズムは、非常に複雑怪奇である。なぜなら、それは個々人の反応次第だからである。


従ってダイオキシン研究は、非常に複雑であり、多くの問題が未だに明らかにされていないのである。

目的:ビエンホア(ドンナイ省)、ナムドン郡(トゥア・ティエン・フエ省)、タイン・ケ(ダナン市)、ゴー・クエン郡とアン・ハイ郡(ハイフォン市)で実施された医学的記録と研究に基づく疫学研究と分類を通じて、患者をふるいにかけ、選別していくこと。調査対象は8歳から15歳までのダナン市の31人の子ども、ハイフォン市の27人の子どもと、残りは16歳以上の1584人である。

材料と方法:高度の正確さと自負する標準化した基準を使って、遺伝学、遺伝子、免疫学、生化学、そして血液学に関する基準を決定する。

結果と方法

得られたデータをまとめると、以下のようになる。
1. 有史以前にダイオキシンに曝露していた5世代の遺伝子を分析した。血液中のそのダイオキシンは、戦争中の曝露した対象物の中にも発見された。
P53遺伝子(*1)、Cyp aAl遺伝子、そして、AhR遺伝子(*2)の変化、特に特定のガンに関係するアミノ酸の変化がみられた。
2. ダイオキシンに高リスクで曝露(HRE)したグループにおける、良い抗体を作るために反応する能力は、コントロール・グループや低リスクに曝露したグループより、極めて低い。
Posted by Picasa3. 両グループの間の酸化を防止する酸素活動には差異が認められる。

4. リンパ球の障害の頻度は、HREの方に見つけられる。

5. ダイオキシン曝露と免疫系統の変化の間の関係調査、HREにおける生化学的血液学の調査では、われわれは、混合した血液サンプルと、遺伝子、免疫系統、生化学的血液学的に変化をきたした個々の血液サンプルのダイオキシン濃度の間の変化は一致する変化は発見できなかった。

* 1 P53遺伝子 (北村註:多くのガン患者の場合、「P53」というタンパク質を作る遺伝子が欠損していることが これまでの研究で分かっていた。P53遺伝子は、癌抑制遺伝子の一つであり、遺伝子産物としてP53蛋白質を作る。 P53遺伝子 は最も多くの悪性腫瘍において異常が認められる癌抑制遺伝子である )

* 2 AhR遺伝子(北村註:芳香族炭化水素受容体(AhR)遺伝子欠損マウスに3種類のPAH発がん物質による発がん誘発と代謝酵素誘導を比較検討した結果、芳香族炭化水素ごとに発がん感受性が異なりAhRを介した代謝径路以外の径路が発がん感受性に影響を与えることがわかった。これは、がん研究助成金 計画研究による11-11発がんにおけるDNA修復機構の関与についての研究から引用))

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